コレクション: Maison Margiela

1988年、パリ。ベルギー人デザイナー マルタン・マルジェラ が創設した Maison Margiela(メゾン マルジェラ) は、モードの帝王と称される、世界で最も影響力のあるメゾンのひとつである。ロゴではなく匿名性を、装飾ではなく構造美を追求するという哲学は、30年以上にわたりファッションの価値観そのものを書き換えてきた。

ブランドを象徴する4本の白いステッチは、もともとロゴではなかった。初期のコレクションでは、ブランド名のない真っ白なタグを仮留めするためのしつけ糸として付けられ、購入者が簡単に外し、ブランドネームではなく服そのものを纏うことを意図していたのである。やがて、その匿名性の思想こそが世界中で支持され、皮肉にも4本のステッチ自体がメゾンを象徴するアイコンとなった。

1997年にはカレンダータグが誕生。0から23まで並ぶ数字は各コレクションラインを表し、丸で囲まれた番号がそのアイテムの所属を示す。ブランド名を記さず、数字だけで世界観を語るこの発想も、マルジェラならではの美学である。

2014年からはジョン・ガリアーノがクリエイティブ・ディレクターに就任し、Artisanalを世界最高峰のクチュールへと昇華。そして2025年、新たな時代を託されたのが グレン・マーティンス。創設者と同じアントワープ王立芸術アカデミー出身である彼は、革新的な素材表現と構築美によって、メゾンのDNAを未来へと受け継いでいる。

5ACバッグ、Tabiシューズ、そして彫刻のようなテーラード。Maison Margielaは、流行ではなく思想を纏うという贅沢を体現する、モードの頂点に君臨するメゾンである。